20070828

看板

ブラジルのサンパウロで、なにやらすごいことが行われているようです。
http://pingmag.jp/J/2007/08/27/sao-paulo-no-logo/
なんと、看板、広告などを法律で禁止してしまったとのこと。
目的は「街をきれいにする」ことらしいですが、こういう法律が実現したという事態には驚かされます。
日本でも屋外看板広告は街中にあふれていますが、あれが全部なくなったらどんな風景になるのでしょうか?
街はきれいになるのか?
日本で実現するとこにはリアリティを感じづらい出来事です。あるいは、Web等の広告が高度に発展し、街頭広告が費用対効果的に効率が悪い、というようなことになれば、自然と広告の無い街の風景が実現するのかもしれませんが。

個人的には、屋外看板広告に対してそれほど否定的な思いを抱いてはいません。
美しいとは思っていないけれど、それは広告があること自体に問題があるのではなく、そのあり方の問題だと思っています。
きれいな建物にとんでもない看板広告が掲げられている様子を目の当たりにしてがっかりすることもありますが、社会が自由な経済活動を基盤としている以上、看板の存在自体を否定してしまっては本質的な解決に向かいません。

いま施工中のテナントビルファサード改修は、そんなことを考えながら計画した物件です。
テナントビルである以上、いずれ看板が設置されることは明らかです。
その状況を否定せず、拒絶せず、前向きに受け入れる。テナントの変化に左右されず、むしろその変化にきちんと呼応し、様相を変化させる。けれども全体的な質は変わらない。そんな強度を持ったファサードが実現出来れば、テナントビルが街に発するメッセージも変わってくるのではないかと考えています。10月末竣工予定。

それにしても、サンパウロで、政治を動かし経済に影響を与えていくほどダイナミックな「街をきれいにしたい」という思いが渦巻いている様子には少なからず感動を覚えました。